ラスクの歴史に見るお菓子の進化

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ラスクは、今や日本でも広く親しまれているお菓子ですが、その歴史を遡ると、その起源はヨーロッパにまで遡ります。もともとは保存食として生まれたラスクは、時代とともに進化を遂げ、現在では多様な風味や形状で楽しむことができるようになりました。この記事では、ラスクの歴史を振り返り、その進化の過程を通してお菓子の変遷を探っていきたいと思います。

ラスクの起源は古代ローマ時代にまで遡ります。当時は「ビスコット」と呼ばれるパンを二度焼きしたものが、長期間保存できる食料として重宝されていました。航海や軍事行動の際に、湿気に強く軽量であることから、軍用食や船乗りの食料として利用されていたのです。このビスコットが、やがてフランスに渡り、「ビスキュイ」として発展を遂げました。

フランスでのラスクの発展は、特に中世以降、貴族たちの間での人気とともに進みます。砂糖やスパイスを加えて味わい深く仕上げられたラスクは、贅沢なお茶会の席で供されるようになりました。ここでのラスクは、もはや保存食としての役割を超え、贅沢品としての地位を確立していきます。

その後、ラスクはフランスからヨーロッパ各国へと広がり、各地で独自のアレンジが加えられました。イギリスでは「トースト」として、スコットランドでは「ショートブレッド」として、またドイツでは「ツヴァイバッグ」として、それぞれの文化に根付いていきました。

日本にラスクが紹介されたのは、明治時代のことです。洋菓子の技術が日本に持ち込まれ、ラスクもその一部として受け入れられました。当初は特別な行事や贈答品としての位置づけでしたが、次第に一般家庭でも親しまれるようになりました。そして、現代の日本では、バターやチョコレート、抹茶など、様々なフレーバーのラスクが登場し、手軽に楽しめるお菓子として定着しています。

鎌倉山ラスクのような専門店では、古くからの製法を大切にしつつも、創意工夫を凝らした新しいラスクが提供されています。こうした試みは、古代から続くラスクの伝統に新たな命を吹き込むものであり、今後もお菓子の進化を見守る楽しみを与えてくれることでしょう。

ラスクの歴史を知ることで、単なるお菓子としてではなく、その背後にある文化や時代背景を感じることができます。次にラスクを手に取るときは、その一枚に込められた長い歴史と進化の過程を思い浮かべてみてはいかがでしょうか。

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